ケアプランにおける居宅療養管理指導の位置付けは、訪問診療を行っている歯科医院がケアマネジャーからよく受ける質問の1つです。
今回はこの点について、整理して説明しましょう。原則、すべての介護サービスは次の手続きを経て提供されます。
まず、ケアマネジャーは要介護認定を受けた利用者に対し、ケアプランの原案を作成します。
その後、同意を得たうえでケアプランを確定し、各サービス事業者へ「サービス提供票」を送付し、この提供票にもとづき事業者はサービスを実施します。
そしてサービス提供後に各事業者は、介護報酬を国保連合会に請求します。
国保連合会では、居宅介護支援事業者が作成した「給付管理票」と各サービス事業者が送付した「介護給付費請求書」の突合チェックを行い、限度基準額の審査を経て介護報酬の支払いを行っています。
そのため、医師や歯科医師等が算定する居宅療養管理指導もほかの介護サービスと同様にケアプランに含める必要があると考えているケアマネジャーも多いのですが、実はこれは例外になっているのです。
次の3つのポイントだけはおさえておいてください。
1.ケアプランの対象外
歯科医院が算定する居宅療養管理指導は、歯科医師の判断で必要に応じて実施されるためケアプランの対象外です。例外的にケアプランのなかには含まれず、限度基準額の対象にはなりません。
2.給付管理票への記載は不要
介護報酬の請求は歯科医院から直接国保連合会へ行うため、ケアマネジャーは居宅療養管理指導を給付管理票に記載する必要はありません。ケアマネジャーのなかには、歯科医院が算定した居宅療養管理指導も、ほかのサービスと同様に「給付管理票」に記載し国保連合会に請求する必要があると考える方もいるようですが、介護報酬の請求は歯科医院と国保連合会の間で手続きが完了すると理解してください。
3.診療情報提供書は利用者ごとにファイリングする
歯科医師が居宅療養管理指導を算定した場合には、毎回ケアマネジャーへの情報提供が必要です。訪問診療を行った歯科医院から届く「診療情報提供書」には、利用者の治療計画や口腔内の状態、療養上の注意事項等が記載されています。
この用紙はどこにも提出する必要はありませんから、内容を確認したうえでファイリングしておきます。ケアマネジャーはこの「診療情報提供書」に目を通し理解することで、歯科医院との連携が取りやすくなります。
少し専門的なお話で難しい点もあるかと思いますが、訪問歯科診療を行っていくうえでの必要事項になりますので、要点を押さえておきましょう。